公開:2015年2月

更新:2023年7月

リウマチと共に
生きる

日常生活におけるケアや
各種支援制度などについて解
説します。

公開:2015年2月

更新:2023年7月

医療費支援制度

関節リウマチの患者さんが利用できる医療費の支援制度があることをご存知ですか。関節リウマチの治療には経済的な負担が伴うことが少なくありません。公的な医療保険により病院窓口での自己負担分が3割または1割であっても、とくにバイオ医薬品を治療に取り入れている場合は医療費が高額になってしまいます。しかし、日本には患者さんの経済的負担を軽くするための支援制度があります。

主な支援制度は、各種医療保険制度による高額療養費制度、傷病手当金制度、治療用装具支給制度と、特定疾患治療研究事業による一部公費負担です。

公的医療保険に加入していれば利用できる支援制度

●高額療養費制度

1ヵ月間※の医療機関や薬局の窓口での支払い額が、一定額(自己負担限度額 下表参照)を超えた場合に、超えた分が保険者から払い戻される公的な助成制度です。自己負担限度額は所得や年齢に応じて決められます。高額療養費制度の対象となる窓口での支払い額には入院時の食費や差額ベッド代は含まれません。 ※1ヵ月とは、その月の初めから終わりまで(同一月内)となります。

高額療養費を申請すると、自己負担限度額を超えた分の金額が後日支給されますが、支給までには診療月から3ヵ月程度かかることがあります。

高額療養費制度について詳しくは厚生労働省の資料をご確認ください。 高額療養費制度を利用される皆様へ

■負担をさらに軽減するしくみ
・世帯合算
1つの医療機関等だけでは自己負担限度額を超えない場合、同一月内に別の医療機関や薬局の窓口で支払った額を合算することができます。これらの合算額が自己負担限度額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。ただし、69歳以下の人では、窓口で支払った額が2万1000円を超えた場合のみ合算できます。
また、1ヵ月間に1人が支払った医療費が、自己負担限度額を超えない場合には、同じ世帯のほかの人(同じ医療保険に加入している人に限ります)が医療機関で支払った額を合算することが可能です。これらの合算額が自己負担限度額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

・多数回該当
直近の12カ月間に、すでに3回以上の高額療養費の支給を受けている場合は、4回目から「多数回該当」となり、自己負担限度額が引き下げられます。以下の表を参照ください。

【70歳未満の方の場合】

【70歳以上の方の場合】
2018(平成30)年8月から、70歳以上の方の自己負担限度額に関する規定が以下のように変わりました。
・現役並みの収入がある場合は、課税所得により自己負担限度額が異なります。
・一般(年収156万~約370万円)の年収がある場合は、外来上限額が14,000円から18,000円になりました。
以下の表を参照してください。また、詳しくは、 厚生労働省の資料 (外部リンク)でご確認ください。

【申請手続き】
病院・診療所などの領収書、保険証、印鑑、銀行などの通帳等を用意して、現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度、国保組合、共済組合)に申請します。
高額療養費の支給までには診療を受けてから3カ月ほどかかりますが、事前に、保険者に「限度額適用認定証」の交付を受ける手続きを済ませておけば、はじめから入院分の自己負担限度額超過分を医療機関窓口で支払う必要がなくなります。

【国民健康保険に加入されている方へ】
これまで国民健康保険の財政運営、被保険者資格の管理などは、市町村単位で行っていましたが、平成30年度から都道府県単位に変更となりました。変更後は、同一県内の他の市町村に転居した場合も、転居以前と同じ世帯であることが認められれば、高額療養費の該当回数のカウントが引き継がれます。

●傷病手当金制度

職域保険から支給される給付金の1つで、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するためにあります。支給される金額は、休業1日につき、標準報酬日額(支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額※)の3分の2相当が、4日目から1年6カ月の範囲で支給されます。支給の条件は次の4つです。

①病気・けがのため療養中(自宅療養を含む)であること②今まで従事していた仕事につけないこと③連続する3日(待期期間)を含み、4日以上仕事を休んだとき(3日続けて休んだ後の4日目から支給)④給料が支払われないこと(給料が支払われても傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給)

【申請手続き】
「傷病手当金請求書」に事業主の証明と医師の意見書を添えて現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国保組合、共済組合)に提出します。地域保険(国民健康保険)にはこの制度はありません。

●治療用装具支給制度

けがや病気の治療のために、医師の指示に基づいて治療用装具を作製した場合に、装具費用の一部を療養費として請求することができます。関節リウマチの場合は、各種装具のほか、スプリントやサポーターなどが対象になります。申請をして承認されると、療養費として後日支給されます。

【申請手続き】
医師の装具装着証明書、装具の領収書などを添えて現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度、国保組合、共済組合)に申請します。

●難病医療費助成制度の対象のケース

「難病医療費助成制度」とは、難病のうち特定の疾患に対する医療費助成制度です。関節リウマチの中でも、治療の難しい悪性関節リウマチは対象疾患に含まれています。 病気の重傷度(重病患者認定)やその人の世帯の所得に応じて、一部または全額が公費負担されます。また、各都道府県がそれぞれに医療費等の公費負担を行っているので、地域の保健所・保健センターに問い合わせてみましょう。

【申請手続き】
申請書に臨床調査個人票、その他の必要書類を添えて、住所地を管轄する保健所を通して知事に提出します。

●確定申告で「医療費控除」を申告

家計を1つにする家族が、1年間に支払った医療費が10万円またはその年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%を超えた場合には、超えた分を確定申告で医療費控除として申告すると、税金が還付されます。医療費控除の対象は、医療費の他に、治療に必要な薬代、入院中の食事代、入院・通院の交通費、虫歯の治療費、介護保健の負担額、松葉杖や補聴器の購入などかなり幅広いので、関節リウマチに関するものだけでなく、家族全体の医療費をすべて調べてみるとよいでしょう。

確定申告書に必要事項を記入して、決まった時期(3月15日)までに地域の税務署へ提出します。平成29年度の申請から、医療費控除の対象となる領収書やレシートの提出は不要となりました。その代りに、「医療費控除の明細書」に各医療機関等に支払った金額、治療に伴う交通費等を記入して提出します。領収書の提出はなくなりましたが、税務署から問い合わせがある場合を考え、5年間は保管するようにします。医療費控除の限度額は200万円です。

また、2017年1月1日から「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まり、薬局やドラッグストアで健康の維持増進及び疾病の予防のために購入した市販薬のうち、スイッチOTC(医療用から転用された特定成分を含む)医薬品を、年間12,000円を超えて購入した際に、12,000円を超えた部分の金額(上限金額:88,000円)について、所得控除を受けることができます。 ただし、薬局で購入した医薬品がすべて対象になるのではなく、特定の成分を含んだスイッチOTC医薬品が対象となります。 対象の成分については、厚生労働省の資料(外部リンク)からご確認ください。

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