リウマチコラム

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今年も蒸し暑い季節がやってきました。関節リウマチは湿度が高くなると症状が悪化する傾向があり、また冷房の影響で関節が痛くなるという方も多く、日本の夏は関節リウマチの患者さんにとって憂うつな季節かもしれません。そんな夏の体調不良のなかでも、案外見落としがちなのが「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という皮膚の感染症です。蜂窩織炎は、下肢に起こりやすく、素足で過ごすことが多い夏に感染のリスクが高まります。
今回のコラムでは、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター・所長の山中寿先生に、蜂窩織炎の予防と皮膚のケアについてお話をうかがいました。

小さな傷でも甘くみない。皮膚が赤く腫れたら主治医に相談

「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という言葉は、あまり馴染みがないものかもしれません。しかし、関節リウマチの患者さんには、ぜひ知っておいていただきたいと思い、今回のコラムのテーマに選びました。

蜂窩織炎は、皮膚の小さな傷から侵入した細菌が繁殖することで起こる皮膚の感染症です。下肢に発症しやすく、とくにひざから下の部分や足の甲、足の裏などによくみられます。関節リウマチのために足の指が変形していると、足の裏や足趾に胼胝(たこ/べんち)ができ、そこから感染することがあります。とくに関節リウマチの治療で、免疫抑制剤(メトトレキサート等)やバイオ医薬品といったお薬を使っている方は、どうしても免疫力が低下してしまうため (お薬による治療) 、ほんの小さな傷が蜂窩織炎を発症させることもあるので注意が必要です。


蜂窩織炎で赤く腫れた右足


おもな症状は、皮膚が赤く硬くなって腫れ、熱感、圧痛のあることですが、全身の悪寒や発熱、頭痛、関節痛を伴うこともあります。時間がたつと膿が出るなどしますが、そうなる前に主治医に相談し、治療を受けましょう。

治療は、患部の処置と抗生物質の内服や点滴です。抗生物質の内服薬は、医師の指示通りに最後まで飲みきることが大切です。症状が消えたからといって途中で薬をやめてしまうと、症状がぶり返すことがあるからです。

傷をつくらないように皮膚を守り、しっかりとした足のケアを

「蜂窩織炎への関心をもっていただき、健やかに夏を過ごしていただきたいですね」

夏に蜂窩織炎が増えるのは、肌を露出する機会が増えることも一因だと思われます。海や山、高原など自然豊かなところへ出かける際は、長そでに長ズボンといった服装だと安心です。街中を歩くときも、素足にサンダルというよりも、足を守り関節への負担も軽いスニーカー(ゴム底の運動靴)をおすすめします。靴ずれなどにも十分な注意が必要です。


蜂窩織炎の予防には肌の露出を控えたほうがよい

外出から帰ったあとや、夜お風呂に入ったときに、足などに傷がないか点検する習慣をつけていただくとよいかもしれません。もしも傷を見つけたらきれいな水で洗い流し、場合によっては消毒も行ってください。

足の指に変形のある方は指と指の間を洗うのは大変かもしれませんが、できるだけ丁寧に洗い、お風呂から上がったら、よく乾燥させましょう。お風呂に入れないときでも、足だけは洗うようにするといいですね。

また、5本指靴下は足の指同士がくっついて蒸れるのを防ぎ、いささかでも変形を防ぐのに役立ちますので、試してみてはいかがでしょうか。最近は靴下の種類も増えてきて、おしゃれな5本指靴下もあるようですよ。


足の指に変形があると足を洗いにくく、皮膚の感染症にかかりやすいという面もあります

夏は足白癬(あしはくせん)も増えます。一般的に、水虫といわれている足白癬になると、足の裏に小さな水膨れができ、それが破れて皮が剥けたり、足の指の間の皮膚が剥けたりすることがあります。また、足の裏全体が硬くなりヒビやアカギレができることもあります。そのような足の指の間の亀裂や皮膚の剥がれ落ちたところから細菌が侵入するおそれがあるので、皮膚科できちんと治療しましょう。

ほかにも、足にできたタコや巻爪のケアなどもしましょう。ただし、自分でタコを削ったりして傷をつくるのが心配という方は皮膚科で相談してみてください。足の爪を切るのが、難しいという方はご家族に手伝っていただけるとよいですね。

関節リウマチの方にとって足のケアは大切です。細菌感染を防いで、夏を健やかにお過ごしください。

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Vol.11関節リウマチに合併しやすい「シェーグレン症候群」への対策~乾燥による不快症状を改善するために~ 筑波大学医学医療系 内科(膠原病・リウマチ・アレルギー) 教授 住田 孝之先生
Vol.10関節リウマチ治療の経済的課題(後)東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 講師 田中 榮一 先生
Vol.9関節リウマチ治療の経済的課題(前)東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 講師 田中 榮一 先生
Vol.8 リウマチ患者さんの災害準備と対応(後)実際に避難所生活を送ることになったら 独立行政法人 国立病院機構 仙台西多賀病院 リウマチ疾患研究センター センター長 齋藤 輝信 先生
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