公開:2015年2月

更新:2023年7月

リウマチと共に
生きる

日常生活におけるケアや
各種支援制度などについて解
説します。

公開:2015年2月

更新:2023年7月

リウマチサポート

関節リウマチの治療は、バイオ医薬品の登場によってずいぶん改善し、寛解率が向上しました。しかし、実際には、関節リウマチという病気に対して大きな不安を抱きながら生活しているという点では、患者さんを取り巻く環境に大きな変化はみられません。ここでは、患者さんの療養生活をサポートする情報をご紹介します。

関節リウマチは大変な病気ではありますが、厚生労働省が認定して医療費を補助する333種類の「指定難病」(難治性疾患克服研究事業の対象疾患)には含まれていません。 このなかには悪性関節リウマチが含まれていますが、これは関節リウマチがあり、かつ血管炎に伴う臓器障害などをきたす患者さんであって、関節リウマチの患者さんのごく一部が該当するのみです。

しかし、わが国では、疾患により日常生活に支障をきたす患者さんを支援する制度がいくつもありますので、それを最大限に活用していただくことは重要です。この項では、それらを解説します。

福祉サービス制度を利用する

関節リウマチの症状が進み、機能障害のために生活に援助が必要になった場合は、条件によっては福祉サービス制度を利用できます。関節リウマチの患者さんが利用できる福祉サービス制度には、「身体障害者福祉制度」や「介護保険」などがあります。

●身体障害者福祉制度

上肢(腕)や下肢(脚)、体幹(胴体)の障害が永続的に残ってしまった場合に、「身体障害者」の認定と「身体障害手帳」の交付が受けられます。障害の程度は1種・2種と、1~6級に分けられており、その認定は身体障害者福祉法の指定によって行われます。さまざまな援助が受けられますが、とくに医療費の減免と税金の控除が経済的負担の軽減に役立ちます。

身体障害者手帳で利用できる制度は、地域や障害の程度によって異なるので、お住いの市町村の障害福祉担当課に問い合わせてみましょう。

●障害者総合支援法

障害者総合支援法は、障害者自立支援法に代わってつくられた法律で、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援することが目的となっています。この法律では難病の患者さんも障害者の範囲に加わることとなり、関節リウマチはその対象疾患になっています。 ホームヘルパーによる入浴、排泄、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事援助や自立訓練、各種相談など、条件によっては幅広い支援が受けられます。

サービスの利用を希望する方は、市町村の窓口に申請し、障害支援区分の認定を受けます。その後、支援を受けるサービスに関する計画書を指定特定相談支援事業者に作成してもらい、それを市町村に提出して、実際のサービス利用が始まります。

●介護保険

介護保険制度は、一般的には高齢者(65歳以上)のための制度ですが、40歳以上で介護保険に加入して、国が定める特定疾病の患者さんでしたら、65歳未満でも利用することができます。特定疾病とは、加齢との関係が認められている病気で、症状が進むと介護が必要になる可能性が高いものをいいます。関節リウマチも特定疾病に含まれ、介護が必要になったときには介護保険を利用して、訪問介護や訪問入浴介護、訪問看護などのサービスを利用することができます。

介護保険は市町村と特別区(東京23区)ごとで運営しています。利用するには、市役所や区役所の窓口に申請します。その後、訪問調査員が申請者の自宅を訪問して本人に状態を確認し、要介護認定の判定が行われます。要介護1~5、要支援1、2のいずれかに認定されれば、それぞれの要介護度に定められた範囲のサービスを利用することができます。

支援制度の相談窓口

支援制度の相談窓口は下記の通りですが、治療を受けている医療機関の患者相談窓口や事務の窓口で、自分がどのような制度を受けられるか尋ねてみるとよいでしょう。医療機関によっては、医療ソーシャルワーカーという医療や福祉の制度と利用に関する専門職が患者さんの相談に応じています。最近は医療ソーシャルワーカーを置く医療機関が増えています。

患者さんどうしのつながり

関節リウマチは長くつき合っていく病気ですが、症状のつらさがなかなか理解されにくい面もあり、患者さんは孤独感を抱くことも少なくありません。そんなとき、同じ病気をもつ仲間、そして経験を積んできた先輩との交流が心を癒し、力を与えてくれるかもしれません。そこで得られた情報が、明日からの治療のモチベーションとなるのではないでしょうか。

1960(昭和35)年に設立された、「公益社団法人 日本リウマチ友の会 」(外部リンク)は関節リウマチの患者会で、会員は全国に約1万3000人(2016年末)。さまざまな事業を展開し、各地の支部もそれぞれに活動しています。

日本リウマチ友の会は、主に関節リウマチの患者さんの実態調査をまとめた『リウマチ白書』を5年ごとに発行しており、それがリウマチ疾患に対する国の施策などにも役立てられています。

患者会への参加は、当事者の話を直接聞き、気持ちを打ち明け合って具体的な相談のできることが何よりも大きなメリットです。仲間が欲しいと思ったときには、患者会への参加を考えてみるのもよいのではないでしょうか。

周囲の人の病気への理解が求められる

病気の進行によっては、さまざまな機能障害が起こる関節リウマチの患者さんが、自分らしく生きるためには、家族や友人、職場の人など周囲の理解が欠かせません。関節の痛みや全身のだるさなどは見た目ではわかりにくい一方、病気が進行して関節の変形が起これば外観のことでも大きな悩みを抱えてしまいます。

また、治療が奏効して寛解に至ったとしても、再び症状が悪化することもあり、一生病気のコントロールを続ける必要があります。

周囲の人が、関節リウマチという病気の特徴を知り、知識をもち、十分理解してくれていれば、患者さんの心と体はずいぶんと救われ、病気とつき合っていく力もわいてきます。

●病気があっても社会で能力を発揮するために

関節リウマチはバイオ医薬品等の登場によって、寛解という状態を目指すことができるようになりましたが、その分治療にかかる費用は増えています。これも患者さんを悩ませる大きな要因の一つで、治療を続けるためにも働き続けることが必要という人がたくさんいます。最近はがんの治療中・治療後の人の就業支援に注目が集まっていますが、関節リウマチについても、その人の能力を社会で発揮できるような支援と理解、そして共感が求められています。