どんな病気?

関節リウマチの患者さん像

関節リウマチは高齢者の病気と思われがちですが、実際にはどの年代にも発症する可能性があり、40歳代が発症のピークです。次いで50歳代、30歳代と続き、20歳代で発症する人も少なくありません。

男女比は1:4で女性に多く発症がみられますが、その理由はよくわかっていません。女性ホルモンの影響や、免疫の仕組みの違いなどが関係していると考えられています。
現在、日本全国に関節リウマチの患者さんは70万人いるといわれていますが、年に1万5000人が新たに発症し、患者さんの数は増えています。

関節リウマチの原因

関節リウマチの発症には免疫の仕組みが関係していると考えられています。免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵から自分を守る体の仕組みです。たとえば、インフルエンザウイルスが体に入り込むと、高熱が出て関節が痛くなったり、のどが腫れて咳が出たりしますが、これらの症状は体がインフルエンザウイルスと闘っているために起こります。
インフルエンザウイルスのように、体の外から入ってくる外敵を「抗原」、それを攻撃して排除する物質を「抗体」といい、抗体は白血球からつくられます。抗体は外敵を見つけると、体に害を及ぼす異物と判断し、それを排除するために攻撃します。
このように、私たちを感染症から守っている免疫の仕組みですが、何かのきっかけで、自分の体をつくっている細胞や物質を外敵とみなし、それを攻撃するための抗体をつくり出すことがあります。これが免疫の異常で、自分で自分の体を攻撃することから、「自己免疫疾患」と呼ばれます。

免疫のメカニズム

自己免疫疾患には、関節リウマチのほかに、「全身性エリテマトーデス」「強皮症」「多発性筋炎/皮膚筋炎」「糸球体腎炎」「重症筋無力症」などがあります。

●関節リウマチの痛みやこわばりの原因

「滑膜」とは、関節の内側を覆う膜です。厚さ1mmにも満たない薄い膜ですが、滑液という粘りと弾力性のある液体を分泌します。滑液は関節内に満ちて関節液となり、これが関節をスムーズに動かす潤滑液として働きます。また、関節のクッションである軟骨に、酸素や栄養を供給するのも関節液の役割です。

しかし、免疫の異常によって滑膜が攻撃されると、滑膜は炎症を起こして腫れ上がり、滑液を多量に分泌するようになります。その結果、「ひざの腫れ」やひざに水がたまる「関節水腫」が起こります。

痛みは、痛みを起こす物質(発痛物質)が滑膜の神経を刺激するために生じます。炎症によって、サイトカインやプロスタグランジンといった発痛物質がたくさんつくられるので、痛みをとるためには炎症を抑えることが大切です。

滑膜の炎症が慢性化すると、関節の軟骨や骨にも悪影響が及び、徐々に関節が破壊されていきます。関節の破壊は、ステージ1からステージ2、ステージ3、ステージ4へと段階的に進みます(検査・診断「病期・ステージ」参照)

「リウマチ性疾患」「自己免疫疾患」「膠原病」とは?

リウマチ、自己免疫疾患、膠原病

「リウマチ」の語源はギリシャ語の「rheuma(リューマ)」という言葉で、日本語に訳すと「流れ」という意味をもっており、2500年前のギリシャの医師ヒポクラテスの著書に書かれた、脳から流れ出した悪い液体が関節にたまり、痛みを引き起こす病気(rheumatismos)に由来します。
「リウマチ性疾患」とは、関節や筋肉に痛みやこわばりを来す病気全体のことを指します。
「自己免疫疾患」とは、免疫の異常で、自分の体をつくる細胞や物質を外敵と誤って認識し、攻撃してしまう病気。
「膠原病」とは、リウマチ性疾患と自己免疫疾患、そして、体の細胞と細胞の間にある組織に異常を来す「結合組織疾患」の3つが重なりあった病気のことをいいます。関節リウマチは、膠原病の1つです。

関節リウマチの進み方

関節リウマチは進行性の病気ですが、その進み方は一様ではありません。発症してから短期間で急に病状が進んでしまう人がいる一方、自然に治まっていく(自然寛解)人も少数ながらいます。いちばん多いのは、症状がよくなったりわるくなったりしながら、10年、20年かけて進む人ですが、この場合も、同じペースで進行するのではなく、急に悪化のスピードがはやくなることもあります。

関節リウマチの進行

関節の炎症と比例して関節が傷つき始め、関節リウマチの発症から1~2年すると関節に破壊が生じます。関節の破壊が進む前にできるだけ早く治療を始めることが大切です。
早期に適切な治療を始めることによって、関節の破壊を防ぐことができ、より多くの人が寛解の状態を維持できるようになります。ある程度進行した場合も、治療を続けていけば生活の質をよりよい状態に保つことができます。

大きく変わった関節リウマチの治療

かつての関節リウマチの治療は、痛みのコントロールが中心で、それで効果がない場合に別の薬を追加していくことが一般的でした。しかし、1980年代後半から1990年代の研究の成果と、有効な抗リウマチ薬やバイオ医薬品が登場したことにより、早期からこれらの薬を積極的に使う治療へと大きく変わりました。

関節リウマチの種類

30~50歳代で発症することの多い関節リウマチですが、10歳代や、60歳以降で発症することもあります。
16歳未満で発症する場合を「若年性特発性関節炎(JIA)」()といいます。

また、「悪性関節リウマチ」といって、血管炎のために内臓など、関節以外の症状が強くあらわれるタイプのものがあります。悪性関節リウマチは国が指定した特定疾患に指定されているので、医療費の補助を受けることができます。

●若年性特発性関節炎(JIA)

若年性突発性関節炎(JIA)

「若年性慢性関節炎(JCA)」は、以前は「若年性関節リウマチ(JRA)」とも呼ばれていましたが、現在は世界的に「若年性特発性関節炎(JIA)」で統一されています。

若年性特発性関節炎は、大きく「全身型」と「関節型」に分けられ、関節型には「小関節型」と「多関節型」があります。それぞれの割合は、全身型が42%、関節型のうち小関節型が20%、多関節型が32%です。

若年性特発性関節炎の症状

若年性特発性関節炎(JIA)の症状

(※)発熱のパターンの1つで、一日の体温変動が1℃以上あり、平熱までは下がらないという特徴があります。

若年性特発性関節炎の治療
・全身型
副腎皮質ステロイド薬で全身の炎症を抑えます。副腎皮質ステロイド薬は徐々に減量するが、症状のために減量が難しい場合は、免疫抑制薬(シクロスポリン)を併用します。また、関節炎がよくならない場合には抗リウマチ薬を併用し、それでも効果がない場合はバイオ医薬品が用いられます。
・関節型
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs(エヌセイズ))、抗リウマチ薬のメトトレキサートが中心となります。少量の副腎皮質ステロイド薬や、メトトレキサート以外の抗リウマチ薬を使うこともあります。それでも効果がみられない場合は、バイオ医薬品が用いられます。

若年性特発性関節炎に対する医療費補助

若年性特発性関節炎は、小児慢性特定疾患治療研究事業()の対象疾患の1つです。18歳未満の患者さんと、引き続き治療が必要と認められる20歳未満の患者さんは、医療費の自己負担分が補助されます。医師や病院の事務、患者相談窓口、最寄りの保健所などへ問い合わせましょう。


子どもの慢性疾患で、医療が長期にわたり医療費の負担も高額になる疾患を小児慢性特定疾患として、治療の継続と家庭の負担軽減を目的に、医療費の自己負担分を都道府県や指定都市などが補助する制度です。

●悪性関節リウマチ

関節リウマチの患者さんで、血管炎の症状がとくに重く、それが治りにくいタイプを「悪性関節リウマチ」といいます。呼吸不全や感染症、心不全、腎不全などが原因で死に至ることもあります。必ずしも重症の関節リウマチを意味するものではありません。悪性関節リウマチは、特定疾患治療研究事業の対象疾患となっており、申請し認定されれば、治療費の自己負担分の一部を国と都道府県が公費負担として助成しています。

悪性関節リウマチは、関節リウマチの患者さんの0.6%に発症し、患者数は4,000人ほどと推定されています。関節リウマチよりもやや年齢の高い60歳代で診断されることが多く、男女比は1:2です。近年は、関節リウマチ治療薬の普及と治療法の確立や、禁煙の広まりによって、発症する人が減ってきているといわれています。

悪性関節リウマチの症状

悪性関節リウマチの症状

悪性関節リウマチの治療
関節リウマチの治療をきちんと行います。
関節の機能低下の状態に合わせて理学療法を行います。
寛解するまでは原則として入院治療となります。
①~③を行った上で、悪性関節リウマチに対する薬物療法(ステロイド薬、免疫抑制剤、抗血液凝固薬など)を実施します。

悪性関節リウマチの日常の注意点
悪性関節リウマチの方は、日常生活において減塩を心がけ、スナック菓子などの摂取も控えましょう。また、肥満にならないよう、バランスのよい食事を規則正しく摂取し、脂肪の摂り過ぎには注意をします。また、喫煙は血管炎に対し有害です。喫煙者の方には、禁煙を強く勧めます。

関節リウマチによく似た病気

関節リウマチの症状に関節のこわばりや痛みがありますが、これらの症状は別の病気でもあらわれることがあります。症状が似ていても、病気によって治療法はそれぞれ異なるので、適切な治療のためには専門医を受診して本当に関節リウマチなのかどうか、しっかり見極めること(鑑別)が大切です。

とくに、リウマチ性疾患は、症状が似ているため、関節リウマチかどうかを見極めることが必要です。ほかに細菌感染に伴う関節炎や痛風、加齢に伴う変形性関節症や更年期障害などでも関節の痛みやこわばりが出現します。

●関節リウマチに似た症状があらわれる病気

関節リウマチとの見極めが難しい病気には、ウイルス感染による関節炎やシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎、リウマチ性多発筋痛症などがあります。そのほか、変形性関節症や腱鞘炎、痛風、ベーチェット病などもしっかりと鑑別の必要があります。また、病気ではありませんが、更年期障害でも関節の痛みが生じることもあります。関節リウマチと似た症状があらわれる主な病気については以下を参考ください。

・変形性関節症
加齢や関節への過度な負担によって、関節の軟骨がすり減り、こわばりや痛みが生じる病気。ひざ関節にもっとも多くみられますが、股関節や手指の関節、背骨の関節などにも起こります。変形性ひざ関節症はO脚やX脚の人、肥満の人などがなりやすいといわれています。中年以降の女性に多く発症しますが、年齢とともに男性でも加齢性の変形性関節症が多くみられるようになります。

・痛風
血液中に尿酸が増え(高尿酸血症)、その状態が長く続くと、尿酸が尿酸塩という針状の結晶に変化します。尿酸塩の結晶が関節にたまると、痛風発作と呼ばれる強い痛みが生じます。痛風発作は足の親指の関節に起こることが多いが、ひざなどの関節にもみられます。食べすぎや飲酒、ストレスなどが影響するといわれています。患者さんの90%以上は男性で、40歳以上に多いが、最近は20~30歳代も増加の傾向にあります。

その他、関節の症状を有する疾患は多く、関節リウマチと間違えられやすいことがあります。正しい治療は正しい診断から始まります。疑問があれば、専門の先生方に意見を聞くのもよい方法だと思われます。