手術による治療

「手術療法」で関節の機能を回復させる

関節リウマチの薬物療法は、確実に進歩してきました。しかし、薬の効き方などには個人差があり、関節の破壊が進行してしまうことがあります。関節破壊が進行して、機能が大きく低下したときには手術が検討されます。

関節の機能が低下して日常生活に支障をきたした場合でも、手術によって機能を回復させ、日常生活動作(ADL)の改善や生活の質(QOL)の向上を目指すことができます。

手術は行う時期が大切です。関節の破壊が進みすぎてしまうと手術ができなくなることもあるので、担当医と相談しながら適切な時期に手術という選択を考えましょう。

ADL(activities of daily living)とは

日常生活を営む上で普通に行っている行為や行動のことを日常生活動作(ADL)といいます。具体的には、立ち上がる、座るなどの起居動作、歩行や階段の上り下りなどの移動動作、食事動作、排泄動作、洗顔や歯磨きなどの整容動作、服や靴を脱ぎ着する更衣動作、入浴動作、コミュニケーション能力を指します。

QOL(quality of life)とは

一般的には「生活の質」と訳されますが、「life」には生活という意味だけではなく、生命、生涯、暮らし、人生など幅広い意味があります。

手術の目的

手術の目的には、痛みを取り除くことと、骨や関節、腱などの生理機能の再建があります。手術を行う部位によって、手術後にどのように症状が改善されるかは異なります。

上肢の場合
・食事、整容、更衣、排泄、入浴など身の回りのことができるようになります
・立ったり歩いたりするために杖や歩行器を使えます
・家事や仕事へ復帰できます
・趣味や娯楽、社会参加を続けられます
・痛みを軽減します

下肢の場合
・歩行障害が改善されます
・自分で移動できる力を保ったり、改善したりします
・寝たきりになるのを予防します
・痛みを軽減します

頸椎の場合
・脊髄の圧迫から生じた神経障害による、運動機能障害の回復が図れます
 あるいは、運動機能障害が出現するのを防いだり進行を防いだりします
・痛みを軽減します

目的別の手術

関節リウマチの手術には、痛みや腫れをやわらげる「滑膜切除術」、関節の機能回復を目的に行う「人工関節置換術」、傷んだ骨や腱(筋肉と骨をつなげている組織)に対して行う「関節固定術」「関節形成術」「腱の形成術」があります。
病気の進行度(ステージ)や症状、その人の生活背景などを総合的に判断して手術法は選ばれます。

手術の種類

ただし、滑膜は切除しても再生するので、手術後に再び炎症が起こる可能性があります。また、手術後はリハビリが大切ですし、炎症をコントロールために薬物療法は続けることになります。


◆人工肩関節置換術

肩関節の破壊が進み、変形すると腕が上げられなくなり、日常生活に支障をきたします。手術によって、痛みの除去とともに可動域を改善することができます。

◆人工ひじ関節置換術

ひじの関節破壊が進むと、強い痛みが生じ、腕を動かすことが難しくなります。洗顔やトイレなどでの動作、食事など毎日の生活の場面でも支障をきたします。手術によって、痛みの除去とともに関節の動きがよくなり、日常生活動作が改善されます。

◆人工指関節置換術

指の変形に対しては機能面のほかに美容目的で手術を検討することがあります。Z字型変形や手の指の付け根の関節に変形がみられる場合は、シリコン製の人工関節であるインプラントを挿入します。

◆人工股関節置換術

股関節は、歩く、立つ、座るといった動作で非常に力が加わる部分です。手指やひざなどの関節に比べ、股関節に症状があらわれる人は少ないのですが、股関節が破壊されると歩行ができなくなるなどこれまでの生活を送ることが難しくなるケースがあります。

◆人工ひざ関節置換術

ひざ関節の破壊が進むと、関節が変形したまま固まってしまったり、関節がぐらぐらしたり、曲がったまま固まってしまったりします。このような状態になると、歩行にも支障があらわれます。ひざの人工関節はさまざまなタイプがあり、一人ひとりの患者さんの状態をみて選ぶようになります。



◆足関節固定術

足首の関節破壊が進むと、痛みとともに歩行が困難になります。手術で固定することで痛みがとれ、歩行が可能になることがあります。ただし、股関節やひざ関節の障害が少ない場合が手術の適応になります。



◆足趾関節形成術

外反母趾や槌指など足趾の変形に対して、指の根元部分の骨をけずることで痛みをとり、形成します。術後も鋼線を入れ、変形を矯正します。



腱が再び切れるのを予防するために、手の指の関節を一部切り取って固定する関節形成手術を同時に行います。