公開:2015年2月

更新:2023年7月

リウマチの治療

関節リウマチの治療方法につ
いてお薬・リハビリ・手術の
それぞれの観点から解説します。

公開:2015年2月

更新:2023年7月

手術による治療

「手術療法」で関節の機能を回復させる

関節リウマチの薬物療法は、確実に進歩してきました。しかし、薬の効き方などには個人差があり、関節の破壊が進行してしまうことがあります。関節破壊が進行して、機能が大きく低下したときには手術が検討されます。

関節の機能が低下して日常生活に支障をきたした場合でも、手術によって機能を回復させ、日常生活動作(ADL)の改善や生活の質(QOL)の向上を目指すことができます。

手術は行う時期が大切です。関節の破壊が進みすぎてしまうと手術ができなくなることもあるので、担当医と相談しながら適切な時期に手術という選択を考えましょう。

●ADL(activities of daily living)とは

日常生活を営む上で普通に行っている行為や行動のことを日常生活動作(ADL)といいます。具体的には、立ち上がる、座るなどの起居動作、歩行や階段の上り下りなどの移動動作、食事動作、排泄動作、洗顔や歯磨きなどの整容動作、服や靴を脱ぎ着する更衣動作、入浴動作、コミュニケーション能力を指します。

●QOL(quality of life)とは

一般的には「生活の質」と訳されますが、「life」には生活という意味だけではなく、生命、生涯、暮らし、人生など幅広い意味があります。

手術の目的

手術の目的には、痛みを取り除くことと、骨や関節、腱などの生理機能の再建があります。手術を行う部位によって、手術後にどのように症状が改善されるかは異なります。

上肢の場合
手術を行うことで次に列記した事柄の改善が考えられます。
・食事、整容、更衣、排泄、入浴などの日常生活動作
・立ったり歩いたりするために杖や歩行器が使える
・家事や仕事への復帰
・趣味や娯楽も含めた社会参加
・痛みの軽減

下肢の場合
手術を行うことで次に列記した事柄の改善が考えられます。
・歩行障害の改善
・自分で移動できる
・寝たきりになることの予防
・痛みの軽減

頸椎の場合
手術を行うことで次に列記した事柄の改善が考えられます。
・脊髄の圧迫から生じた神経障害による、運動機能障害の回復
・運動機能障害の防止
・痛みの軽減

目的別の手術

関節リウマチの手術には、痛みや腫れをやわらげる「滑膜切除術」、関節の機能回復を目的に行う「人工関節置換術」、傷んだ骨や腱(筋肉と骨をつなげている組織)に対して行う「関節固定術」「関節形成術」「腱の形成術」があります。
病気の進行度(ステージ)や症状、その人の生活背景などを総合的に判断して手術法は選ばれます。

手術の種類

ただし、滑膜は切除しても再生するので、手術後に再び炎症が起こる可能性があり最近ではあまり行われなくなりました。なお、手術後はリハビリが大切ですし、炎症をコントロールために薬物療法を続けることになります。

肩関節の破壊が進み、変形すると腕が上げられなくなり、日常生活に支障をきたします。手術によって、痛みの除去とともに可動域の改善を目指します。

ひじの関節破壊が進むと、強い痛みが生じ、腕を動かすことが難しくなります。洗顔やトイレなどでの動作、食事など毎日の生活の場面でも支障をきたします。手術によって、痛みの除去とともに関節の動きがよくなることで、日常生活動作の改善を目指します。

指の変形に対しては機能面のほかに美容目的で手術を検討することがあります。Z字型変形や手の指の付け根の関節に変形がみられる場合は、シリコン製の人工関節であるインプラントを挿入します。

股関節は、歩く、立つ、座るといった動作で非常に力が加わる部分です。手指やひざなどの関節に比べ、股関節に症状があらわれる人は少ないのですが、股関節が破壊されると歩行ができなくなるなどこれまでの生活を送ることが難しくなるケースがあります。

ひざ関節の破壊が進むと、関節が変形したまま固まってしまったり、関節がぐらぐらしたり、曲がったまま固まってしまったりします。このような状態になると、歩行にも支障があらわれます。ひざの人工関節はさまざまなタイプがあり、一人ひとりの患者さんの状態をみて選ぶようになります。

足首の関節破壊が進むと、痛みとともに歩行が困難になります。手術で固定したり人工関節を入れることで痛みがとれ、歩行が可能になることがあります。ただし、股関節やひざ関節の障害が少ない場合が手術の適応になります。

外反母趾や槌指など足趾の変形に対して、指の根元部分の骨をけずることで痛みをとり、形成します。術後も鋼線を入れ、変形を矯正します。

腱が再び切れるのを予防するために、手の指の関節を一部切り取って固定する関節形成手術を同時に行います。

治療の効果は? >