関節リウマチの医療費

関節リウマチの患者さんが利用できる医療費の支援制度があるのをご存知ですか。関節リウマチの治療には経済的な負担が伴うことが少なくありません。公的な医療保険により病院窓口での自己負担分が3割または1割であっても、とくにバイオ医薬品を治療に取り入れている場合は医療費が高額になってしまいます。しかし、日本には患者さんの経済的負担を軽くするための支援制度がそろっています。早めに手続きを行い積極的に利用しましょう。

主な支援制度は、各種医療保険制度による高額療養費制度、傷病手当金制度、治療用装具支給制度と、特定疾患治療研究事業による一部公費負担です。

公的医療保険に加入していれば利用できる支援制度

●高額療養費制度

医療費の負担が1カ月につき一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた分が保険者から払い戻される制度です。自己負担限度額は所得や年齢に応じて決められています。高額療養費を申請すると、限度額を超えた分が後日支給されます。支給には診療月から3カ月以上かかることもあります。

高額の負担がすでに直近の1年で3月以上ある場合は、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられます。

詳しくは、以下の表を参照してください。

2015(平成27)年1月1日から、高額療養費制度において患者さんが負担する医療費の限度額に変更がありました。

【70歳未満の方の場合】

(※1)年間所得とは、前年の総所得金額及び山林所得並びに株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計額から基礎控除(33万円)を控除した額を指します。ただし、雑損失の繰越控除額は控除しません。 (※2)高額療養費を申請する月以前の直近12カ月間で高額療養費の支給を受けた月が3カ月以上ある場合は、多数回該当という扱いになり、自己負担限度額がさらに引き下げられます。

医療機関から交付された処方箋により調剤薬局で支払った薬代は、処方箋を交付した医療機関に含め計算します。また、医療費は、同じ医療機関であっても入院、外来、歯科外来などに分けて計算します。70歳未満の方では、21,000円以上支払った医療機関のものを合算することができます。

【70歳以上の方の場合】

【申請手続き】
病院・診療所などの領収書、保険証、印鑑、銀行などの通帳などを用意して、現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度、国保組合、共済組合)に申請します。
高額療養費の支給までには診療を受けてから3カ月ほどかかりますが、事前に、保険者に「限度額適用認定証」の交付を受ける手続きを済ませておけば、はじめから入院分の自己負担限度額超過分を医療機関窓口で支払う必要がなくなります。

経済性という観点から考える治療 ―バイオシミラー―

関節リウマチの治療は、総じて長期間に及びます。バイオ医薬品は治療効果の非常に高い薬ですが、高額であるため、治療を継続していくには、患者さんの経済的な負担が大きいという問題点が指摘されています。

医療の経済性という点に目を向けたとき、バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーは、新たな治療の選択肢の1つになるのではないでしょうか。TNF-αの働きを阻害する薬であるインフリキシマブにはバイオシミラーがあります。バイオシミラーの薬価は先行品(すでに発売されているバイオ医薬品)の薬価の約70%です。そのため、バイオシミラーは経済的負担を軽くすることが期待できます。

バイオシミラーは、先行品の特許が切れたあとに、ほかのメーカーがつくって発売する薬ですが、発売前には、臨床試験(治験)を実施して、効果と安全性が先行品と同じであることが証明されています。また、発売後も副作用情報を調査し、常に安全性を保っています。

バイオ医薬品の治療として、最初からバイオシミラーを使う場合も、すでに先行品を使っている方が途中から切り替える場合もありますが、どちらの場合でも効果には差がないことが、臨床試験を含む調査からわかっています。


●傷病手当金制度

職域保険から支給される給付金の1つで、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するためにあります。支給される金額は、休業1日につき、標準報酬日額の2/3相当が、4日目から1年6カ月の範囲で支給されます。支給の条件は次の4つです。

病気・けがのため療養中(自宅療養を含む)であること 今までやっていた仕事につけないこと 4日以上仕事を休んだとき(3日続けて休んだ後の4日目から支給) 給料がもらえないこと(給料をもらっていても傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給)

【申請手続き】
「傷病手当金請求書」に事業主の証明と医師の意見書を添えて現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国保組合、共済組合)に提出します。地域保険(国民健康保険)にはこの制度はありません。

●治療用装具支給制度

けがや病気の治療のために、医師の指示に基づいて治療用装具を作製した場合に、装具費用の一部を療養費として請求することができます。関節リウマチの場合は、各種装具のほか、スプリントやサポーターなどが対象になります。申請すると、療養費として後日支給されます。

【申請手続き】 医師の装具装着証明書、装具の領収書などを添えて現在加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度、国保組合、共済組合)に申請します。

●特定疾患治療研究事業の対象のケース

「特定疾患治療研究事業」とは、難病に対する医療費助成制度で、現在、56疾患がその対象になっています。関節リウマチの中でも、治療の難しい悪性関節リウマチは対象疾患に含まれています。
病気の重傷度(重病患者認定)やその人の世帯の所得に応じて、一部または全額が公費負担されます。また、各都道府県がそれぞれに医療費等の公費負担を行っているので、地域の保健所・保健センターに問い合わせてみましょう。

【申請手続き】
申請書に臨床調査個人票、その他の必要書類を添えて、住所地を管轄する保健所を通して知事に提出します。

確定申告で「医療費控除」を申告

家計を1つにする家族が、1年間に支払った医療費が10万円または年間所得(給与所得控除の金額)の5%を超えた場合には、超えた分を確定申告で医療費控除として申告すると、税金が還付されます。医療費控除の対象は、医療費の他に、治療に必要な薬代、入院中の食事代、入院・通院の交通費、虫歯の治療費、介護保健の負担額、松葉杖や補聴器の購入などかなり幅広いので、関節リウマチに関するものだけでなく、家族全体の医療費をすべて調べてみるとよいでしょう。

確定申告書に必要事項を記入して、決まった時期(3月15日)までに地域の税務署へ提出しますが、医療費控除の対象となるものに関する領収書やレシートが必要なので、日ごろからきちんと保管しておきましょう。医療費控除の限度額は200万円です。